・・・民文学であるかという点になって来ると、各人各説であって、ともかくそれは現実を超えた文学でなくてはなるまい、という説或は偽せものから本ものを見わける文学という論があり、或は万民の心をつかむ文学を、という要望も国民文学の声にこめられている。・・・ 宮本百合子 「平坦ならぬ道」
・・・それだのに、どうしてその戦争に対する恐怖の激しさに相当するだけの、きっぱりした戦争拒否の発言と平和の要望が統一された世論としてあらわれて来ないのだろう。兵火におびえる昔の百姓土民のように、あわれにこそこそと疎開小包をつくるよりさきに、わたし・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・ 聴取者は生きている あちらこちらでラジオのことが考えられている様子で、十二月号の『中央公論』に宮原誠一氏が「放送新体制への要望」という文章をかいていられる。 筆者の閲歴などについて全然知らないから、その文・・・ 宮本百合子 「ラジオ時評」
・・・しかし、理論家にとっては一篇の作品を細心に吟味することで、プロレタリア文学として次の発展段階へ、しかじかにありたい、という要望をひき出すことが可能である。作家が、その要望を自身のものとして実感したとしても、作品の現実でそれを具体化することは・・・ 宮本百合子 「両輪」
・・・あらゆる面で、一般の生活の最低限の安定を保とうとする努力が、新しい政府へ向けられている一つの要望と共力との焦点であろうと思われる。 橋田文相が、まず小学校教員の待遇改善の問題をとりあげているのも、このことを語っているのだろう。 けれ・・・ 宮本百合子 「私の感想」
出典:青空文庫