・・・即ちAFL、CIOの二大労働組合がタフト・ハートレー法撤廃のため一生懸命になって千五百万の組合員に運動し投票所へのかりだしに努めたことに対し、それに適当するだけの数の見本がくばられていなかったのではないだろうか」と。そして「ギャラップの調査・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・は国内戦当時におけるソヴェト農民大衆の革命的役割の見本であるが、農民作家は、では「赤いパルチザン」の業績を、芸術活動で、どう記録しているだろうか。ファジェーエフの「壊滅」、フセワロード・イワノフの「装甲列車」及「パルチザン」、フールマノフの・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・今度出版される昭和十四年度の『雑誌年鑑』の見本の一隅に、文化、文芸賞要覧というのがあって、そこを見たら帝国学士院賞や文化勲章までを入れて凡そ二十二種の賞の名が並んでいた。数の上では文運隆盛の趣を示しているかのようである。 一体、日本の現・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・ 私はその小さい仕事をしている間に、ゴーリキイの生きかたやゴーリキイと何かの形で不断の接触を保ちつつゴーリキイを発展せしめると同時に、そのことによって大衆のうちに蔵されている巨大な階級的芸術の可能性の見本をひき出して行った、ロシアの階級的組・・・ 宮本百合子 「作家研究ノート」
・・・は小さい作品だし、これから大きい題材とテーマをこなしてゆくには幾多の苦労と修練とがいることは明白だけれども、これが新しい勤労者作家のけっしてわるくない見本であることも事実です。志賀直哉の文体は、日本ブルジョア・リアリズムの終点でした。志賀直・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ ――ああ、『イズヴェスチア』へ毎日出る芝居の広告を、見本としてきりぬいといたんだ。 ――何だい、この一等したの、大きな字で印刷してあるのは。 ――ベガ――……競馬の広告だ。 ――競馬もあるのかい? 行ったか? ――行っ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・坂井徳三が専門作家の「見本をみることができない」「やはり民主的な専門作家たちの作品の影響力がまだまだ少い」と補充している点にもうかがわれる。 だいたい、文学に、そっくりそのままを見ならったり、模倣したりする意味での「見本」というものは無・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・ わたしたちのぐるりの手近い現実のなかに、美しい、模範となる民主主義の見本は見えていない。それがはっきり一般の人々の眼と心に映るまでに、海外との自由なゆききはまだ出来ない条件にある。そのために、インテリゲンツィアの気分の中には、民主主義・・・ 宮本百合子 「誰のために」
・・・批評ののろうべき見本であるかのように、紙つぶてをなげつけられた。 今、その時分のことを思い起すと、私は実にしんしんたる興味を覚える。当時の情勢を背景としてついにもだすにたえなかった非力な私自身の姿や、また、自身のプロレタリア作家としての・・・ 宮本百合子 「近頃の感想」
・・・世間でおめかしをした Adonis なんどと云う性で、娘子の好く青年士官や、服屋の見本にかいてある男にある顔なのです。そこでわたくしは非常に反抗心を起したのです。どうにかして本当の好男子になろうとしたのですね。 女。それはわたくしに分か・・・ 著:モルナールフェレンツ 訳:森鴎外 「最終の午後」
出典:青空文庫