・・・それは二つのものを連結する糸が常識的論理的な意識の上層を通過しているか、あるいは古典の中のある插話で結ばれているか、あるいはまた、潜在意識の暗やみの中でつながっているかによって取り合わせの結果は全く別なものとなる。蕉門俳諧の方法の特徴は全く・・・ 寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
・・・大陸移動説を唱えたウェーゲナーは、この事実をもってヨーロッパと北米大陸とが往昔連結していたという自説の証拠の一つとしてこれを引用しているくらいである。それはとにかく、あの運動遅鈍なみみずでさえ、同じ種族と考えられるものが、「現時の大洋」を越・・・ 寺田寅彦 「比較言語学における統計的研究法の可能性について」
・・・とは普通幾何学的に連続し、甲の描く曲線は乙の曲線と必然的単義的に連結している。これに反して連句中の一句とその付け句との「面」の関係は、複雑に連絡した一種のリーマン的表面の各葉の間の関係のようなものである。句の外観上の表面に現われた甲の曲線か・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・そこへいくつものやぐらは建ち、電線は連結されました。 すっかりしたくができると、ブドリはみんなを船で帰してしまって、じぶんは一人島に残りました。 そしてその次の日、イーハトーヴの人たちは、青ぞらが緑いろに濁り、日や月が銅いろになった・・・ 宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
・・・―― 何台も連結された無蓋貨車に出来たてのトラクターがのせられた。数百露里のレールの上を、新しい集団農場に向って走ってゆく。 そのレールを走るのは、重い貨車ばかりではなかった。三等列車も通る。 一九三〇年の春の種蒔どきには、風変・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・計らず昨今は、つる公といねちゃんとが、二台連結で、どっちが書いているのか分らないみたいにある時は仕事をしている、その様子を見る光栄を有するけれども。 小説「乳房」の出来については、読んでいただけなくてまことに残念ですが、一寸一口に云えな・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・くとどまっており、あるいは通俗小説の場面としては落すことのできない近代スポーツの背景として北国の雪景、またはドライヴの描写としての京浜国道がとり入れられ、いずれにせよ、大部分享楽的消費的生活雰囲気との連結におかれている。このことは、菊池寛氏・・・ 宮本百合子 「自然描写における社会性について」
・・・ 自由党その他反動政党が、幣原内閣と連結して、天皇に拒否権を与えたとき、それがどう発動するかは天日のように明かである。議会は、そして全日本は、再び黒雲に閉されるのである。供出に対する強権発動によって、地方では首を吊る者が出ている。米がな・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
出典:青空文庫