・・・○国鉄と麻布三連隊の兵士 赤坂一レンタイと市電労働者の共同懇談会が持たれた。○青年印刷工 六十九銭ぐらい。 一人の仲間は、「活字中の漢字という漢字を知って居り」その人を先にたてて皆のあつまる会をつくり、会の金を出すためにその・・・ 宮本百合子 「大衆闘争についてのノート」
・・・金沢迄無事に行くことは行ったが、駅に下ると、金沢の十五連隊の兵、電線工夫等が大勢、他、救済者が、皆糧食を背負い、草鞋バキ、殺気立った有様でつめかけて居る。急行は何方につくのかときいて見ると、ブリッジを渡った彼方だと云う。A、バスケット、かん・・・ 宮本百合子 「大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」
・・・ 附近に陸軍飛行機学校、機関銃隊、騎兵連隊、重砲隊などがある。開墾部落はその間に散在しているのだ。 南京豆と胡麻畑の奥に、小さい藁葺屋根の家が見えた。われわれ一行三人が、前庭に入って行くと、「よう!」 低い窓からこっちを見て・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・その筆頭はスクータリー病院の院長ホール博士と連隊長連であった。女と戦争と何の関係があるのか。彼らはこの観念から抜けられなかった。軍医、看護卒、看護婦、病院関係の諸役人と大臣たちも、ナイチンゲールを天使とは考えられない人々の群であった。おそろ・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・六週間仲よくつき合ったp.95○連隊長マレールのリュシアンに対する悪感情○決闘して負傷したリュシアン 兵士のメニュエルに介抱される メニュエルとリュシアンの感情p.114 ナンシイの名医王党派デュ・ポワリエ氏○の・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
文化六年の春が暮れて行く頃であった。麻布竜土町の、今歩兵第三聯隊の兵営になっている地所の南隣で、三河国奥殿の領主松平左七郎乗羨と云う大名の邸の中に、大工が這入って小さい明家を修復している。近所のものが誰の住まいになるのだと・・・ 森鴎外 「じいさんばあさん」
・・・ 翌日あたりから、石田も役所へ出掛に、師団長、旅団長、師団の参謀長、歩兵の聯隊長、それから都督と都督部参謀長との宅位に名刺を出して、それで暑中見舞を済ませた。 時候は段々暑くなって来る。蝉の声が、向いの家の糸車の音と同じように、絶間・・・ 森鴎外 「鶏」
・・・ 王族広間の上のはてに往き着きたまいて、国々の公使、またはその夫人などこれを囲むとき、かねて高廊の上に控えたる狙撃連隊の楽人がひと声鳴らす鼓とともに「ポロネエズ」という舞はじまりぬ。こはただおのおの右手にあいての婦人の指をつまみて、この・・・ 森鴎外 「文づかい」
・・・彼に続いて一大隊が、一聯隊が、そうして敵軍は崩れ出した。ナポレオンの燦然たる栄光はその時から始まった。だが、彼の生涯を通して、アングロサクソンのように彼を苦しめた田虫もまた、同時にそのときの一兵卒の銃から肉体へ移って来た。 ナポレオンの・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
・・・このころ、この街にある聯隊の入口をめがけて旗や提灯の列が日夜激しくつめよせた。日露戦争がしだいに高潮して来ていたのである。疏水の両側の角刈にされた枳殻の厚い垣には、黄色な実が成ってその実をもぎ取る手に棘が刺さった。枳殻のまばらな裾から帆をあ・・・ 横光利一 「洋灯」
出典:青空文庫