・・・酔っても、別に馬鹿騒ぎをするわけじゃないし、あれでお勘定さえきちんとしてくれたら、いいお客なんですがねえ。自分で自分の身分を吹聴するわけでもないし、天才だのなんだのとそんな馬鹿げた自慢をした事もありませんし、秋ちゃんなんかが、あの先生の傍で・・・ 太宰治 「ヴィヨンの妻」
・・・に、中泉画伯のアトリエに通っていたが、やがてその老画伯をも軽蔑して、絵の勉強は、ほとんどせず、画伯のアトリエの若い研究生たちを自分のアパートに呼び集めて、その研究生たちのお世辞に酔って、毎晩、有頂天の馬鹿騒ぎをしていた。草田氏は恥をしのんで・・・ 太宰治 「水仙」
・・・天神様や観音様にお礼を申し上げたいところだが、あのお光の場合は、ぬかよろこびであったのだし、あんな事もあるのだから、やっと百五十一枚を書き上げたくらいで、気もいそいその馬鹿騒ぎは慎しまなければならぬ。大事なのは、これからだ。この短篇小説を書・・・ 太宰治 「鉄面皮」
・・・ 子供の時からそう云う事にならされた者達は、馬鹿騒ぎをする事は何でもない、酒を飲んで居る時は、あらいざらいの馬鹿根性をさらけ出していいものと思って、ひどい間違った考えを持たせられるのである。 そんな事は、きまりきって居る事だけに余計・・・ 宮本百合子 「二十三番地」
出典:青空文庫