・・・ ソヴェト同盟の労働者、農民は社会主義生産を高めることによって、自身の文化を驚異的に高めつつある。ところが、階級が文化的に高まれば高まる程、彼等が知るのはその様に文化的発展を遂げさせる基礎としてのソヴェト同盟の社会主義生産の価値だ。愈々・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・子供のための文学の仕事をする作家は、小さい民衆が自由奔放に造る言葉、表現に対して、ひろい感受性をもつと同時に、それらの言葉を芸術の素材とし、取捨し、高める必要がある。 営々たる人類の進歩のための努力の結果は、将来、婦人の生活により多くの・・・ 宮本百合子 「子供のために書く母たち」
・・・文学そのものが本来の性質としてもっている芸術の力によって読者の生活の感情を高める役割さえ、ここでは抹殺されているのである。 プロレタリア文学が、運動としての形をもっていた時分は、当時の一般的な事情からの関係もあって大衆というものの内容を・・・ 宮本百合子 「今日の文学に求められているヒューマニズム」
・・・であったから、古典を読むに当っても当然の結果として読む人々の作家的主観の傾向に準じて、謂わば鑑賞する態度に止まらざるを得ないのであったから、一般文学の創作力の豊饒化という、客観的な影響にまでその研究を高めることには、そもそも読む腰の据えかた・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・女性が人格者として社会的権能を所有する事は、よりよい叡智に依って、異性との協力的結果の価値を高める為でございます。人間の裡に在るべき叡智のよりよき、より自由なる発動の為に、飛翔の為に、其の機会を多数に、多種に拡張し保護する権能が要求されるの・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・呪詛は生を傷い、愛は生を高める。ただ愛せよ、そしてすべてを最もよく生かせよ。――こうして私は喜悦と勇気とに充たされる。天分の疑懼はしばらくの間私の心を苦しめなくなる。 天才はその悲痛な運命の愛によってのみ非凡であった。彼らは多くを与えら・・・ 和辻哲郎 「生きること作ること」
・・・この程度を高めることは、とりもなおさず「自然」を捕える程度が深くなることである。我々はこの程度を高め得た時にのみ、「自然を見ること」を誇り得るだろう。四 ところで内部に突き入ろうとする衝動を感じない人たちは、きわめて常識的な・・・ 和辻哲郎 「「自然」を深めよ」
・・・生を高めるとは活動を高める事である。従って活動が高まるとともに生の価値も高まる。人格価値というのも畢竟この活動にほかならない。活動の高昇はすなわち人格価値の高昇である。 ところでこの活動は同時にまた自己表現の活動である。私の心がある人の・・・ 和辻哲郎 「創作の心理について」
・・・ 私は自己の生を高める情熱に圧倒せられて、かつて嬉しかったものがいやでたまらなくなった。私はこの転向をどうすることもできなかった。親しく交わった彼らに対しても手加減をする余裕などはなかった。好きであった時に逢うことを好んだように、いやに・・・ 和辻哲郎 「転向」
・・・生が愛であることを、愛が苦しみであることを、苦しみが愛を煽ることを、愛が生を高めることを、お前のその顔に刻みつけろ。 和辻哲郎 「ベエトォフェンの面」
出典:青空文庫