・・・今度は突然祭壇のあたりに、けたたましい鶏鳴が聞えたのだった。オルガンティノは不審そうに、彼の周囲を眺めまわした。すると彼の真後には、白々と尾を垂れた鶏が一羽、祭壇の上に胸を張ったまま、もう一度、夜でも明けたように鬨をつくっているではないか?・・・ 芥川竜之介 「神神の微笑」
・・・(一九一七、六、一三、鶏鳴を聞きつつ擱筆 有島武郎 「カインの末裔」
・・・を説いたくだりに、狗吠や鶏鳴を防止するためにこれらの動物のからだのある部分を焼くべしということが書いてある。お灸でもすえるのかと思う。この本の脚注に、昔パルティア人が馬のいななくを防ぐためにそのしっぽをしっかりと緊縛するという方法をとった。・・・ 寺田寅彦 「俳諧瑣談」
出典:青空文庫