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・・・ ジョージ・ギッシングは、非常に困難な一生を送り、芸術家としても決して華やかな生涯は経験しなかった人らしいが、彼の作物のあるものの裡には、殆ど東洋的な静謐さ、敏感な内気な愛が漲っている。四季に分けて書かれたヘンリー・ライクロフトの私・・・
宮本百合子
「素朴な庭」
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・・・ 私は自らギッシングの心を二様に考えさせられた。 一方の考。――彼は本当に純な尊い文学愛好者であった。自分が文学者として如何うだと云う批評や野心等は抜きにして、青年のような熾な愛、帰依で先人の文を追想し得た尊い心情の持ち主であると云・・・
宮本百合子
「無題(四)」