出典:青空文庫
・・・、「瀕死の白鳥」、或る小品の美が今も心に生きています。 フランス現代美術展覧会に陳列されたロダンの彫刻数点、クローデル嬢の作品も、深い感激を与えたものです。 読んだものの中では、「神曲」、ゲーテの作品数種。 印象の種類から云えば・・・ 宮本百合子 「外来の音楽家に感謝したい」
・・・シュニツレル、ゲーテ、イディオットのこと。子供のこと。年をとった女に歌心、絵心、それでなければ信心がある方がいいこと等。 これあるかな松茸飯に豆腐汁。昼はこれ。 M氏来。もう御昼はすみました。でもまあ一膳召しあがれよ。二度目の御昼だ・・・ 宮本百合子 「金色の秋の暮」
・・・著者は、谷崎潤一郎が初期には具体的感覚的文章を書いたが最近は抽象的、概念的文章になったことを指し、偉大なゲーテもさような道ゆきをたどったといっている。六十八歳で歿したゴーリキイが晩年においては、最も概念的であるべき論説においてさえ、ますます・・・ 宮本百合子 「芸術が必要とする科学」
・・・ こういう人間性の分裂と矛盾が、現代の権力あるものの避けがたい立場だというならば、最近の百二十年たらずのうちに、権力そのものの実質がゲーテの讚えたような属性をまったく失ってしまっている事実を物語る。ゲーテは「ファウスト」第二部で、より大・・・ 宮本百合子 「権力の悲劇」
・・・バルザック協会がゲーテ協会に対するものとして出来て、なかなか古典は出版されます。出版されるのであって、真に研究されるのでないところに、文学の窮乏があるのでしょう。ドストイエフスキーなどがよみ直されるのみならず、人間の神性とか獣性とかいう問題・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・鴎外のロマンチシズム、その中挫、ゲーテ的なものの空想と現実との齟齬、大変面白いのです。いつになったら書けるか、今、ゴーリキイをやっていて、九月初旬本になり、築地の記念上演と同時に出るでしょう。それから腰を据えて小説を書いて、それからこの三老・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・近頃になってからのドイツでは、そのノーベル賞をドイツ人が受けることを禁じ、ドイツ民族文化、文芸の最高賞としてゲーテ賞を制定したことは、当時一般の人々に何となく理解しがたい印象を与えた事実であった。あたり前の考えで云えば、一民族の誇りというも・・・ 宮本百合子 「今日の文学と文学賞」
・・・ドイツではゲーテが宰相であれ程の文学者であったというような例は、事情の違う日本では現在までの歴史の性質に於ては有り得ないのが自然とさえ思われる。 以上のような歴史を持って日本の純文学が私小説の伝統の中に生き、今日に至る間に、インテリゲン・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・彼が最後の時期まで博物館長として、上流的高官生活を送ったことは、彼に語らせればゲーテ的包括力であったかもしれないが、歴史の鏡には、やはり文学者としては伝記の研究に赴かざるを得なかった必然として映し出されるのである。 漱石の系統に立って、・・・ 宮本百合子 「作家と教養の諸相」
・・・暗くて寒いドイツ生れのゲーテが、あれほど大部なイタリー紀行を書いた秘密の一つは、彼が古典芸術へ深く傾倒していたことのほかに、こういう微妙なところにもある。ロシアのように広大な国土のところでは、一口にロシアの詩人、作家といっても、黒海沿岸、南・・・ 宮本百合子 「自然描写における社会性について」