出典:青空文庫
・・・ 十六 ある夜の出来事 ゲーブルとコルベールの「ある夜の出来事」は、いかにもアメリカ映画らしい一種特別なおもしろみをもっている。この映画の中で、自分の座席の付近の観客、ことに婦人の観客がさもおもしろそうにおかしそうに・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
・・・しかしただ、ポウェルという男とゲーブルという男との接触から生じるいかにもきびきびした歯切れのいい意気といったようなものが全編を引きしめていて観客を退屈させない。 拳闘場の鉄梯子道の岐路でこの二人が出会っての対話の場面と、最後に監獄の鉄檻・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・におけるゲーブルとクロフォードとのユーモラスなものの下に語られる男の真心というようなものの方がさっぱりしていて、笑えるだけでも成功であったと思う。ぎょうぎょうしくて、しかも愚劣であったのは「恋人の日記」である。 映画における恋愛的な場面・・・ 宮本百合子 「映画の恋愛」