出典:青空文庫
・・・或日 Duc de Bourgogne が Abb Choisy にこんなことを尋ねた。シャルル六世は気違いだった。その意味を婉曲に伝える為には、何と云えば好いのであろう? アベは言下に返答した。「わたしならば唯こう申します。シャルル六世は・・・ 芥川竜之介 「侏儒の言葉」
・・・フロベエルなど、私はよく存じませぬが、なかなか細密の写実家の様子で、シャルルがエンマの肩にキスしようとすると、と言って拒否するところございますが、あんな細かく行きとどいた眼を持ちながら、なぜ、女の肌の病気のくるしみに就いては、書いて下さらな・・・ 太宰治 「皮膚と心」
・・・そうして、そういう虚栄心や恐怖心があらゆる激しい好尚にとってかわっていた。シャルル九世時代の若いフランス人と云えば、そういうはげしい好尚に血潮をわかせていたものだが。○p.229 位階あるものが能ある者に対する憤懣。これが十九世・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」