出典:青空文庫
・・・アドルフ・シュミットの「海洋学」「地球のエネルギーハウスハルト」「地球物理輪講」キービッツの「空中電気」ワールブルヒの「理論物理学特別講義」ペンクの「地理学輪講」という御膳立にきめた。 ヘルマンの講義はシンケル・プラッツの気象台へ聴きに・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
・・・ 隊長シュミット氏は一行中で最も偉大なる体躯の持ち主であって、こういう黒髪黒髯の人には珍しい碧眼に深海の色をたたえていた。学術部長のウィーゼ博士は物静かで真摯ないかにも北欧人らしい好紳士で流暢なドイツ語を話した。この人からいろいろ学術上・・・ 寺田寅彦 「北氷洋の氷の割れる音」
・・・ ソヴェト同盟のシュミット博士一行の極地探険の記録映画は誠に感銘深いものであったが、そこには歪められたロマンティシズムは少しもなかったのである。 沙漠という自然の事情と、それを生産的に開発しようとする人間の意志、土地の相貌が新しくな・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・ 主人公はオスタップ・ベンデルという山師で、北極飛行で世界に有名なシュミット博士の息子と称するいかさま師である。このベンデルが、永年の夢として抱いているリオ・デジャネイロ市へ永住するための資金を稼ごうとして、数年来あらゆる悪辣な秘密手段・・・ 宮本百合子 「音楽の民族性と諷刺」
・・・父をカール・シュミット、母をケーテ・ループといい、娘ケーテの生れた時代のシュミット一家は、ケーニヒスベルクの左官屋の親方として、なかなか大規模の生活を営んでいた。 父親のカール・シュミットという人は、ありふれた左官屋の親方ではなかった。・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・ヘッセのはとうとうありませんでした。シュミット・ボンの『老婆』というのをともかくお送りしますから、そのうしろのカタログ中から選んでいただいたら、手に入るものもあろうと思います。『現代ドイツ短篇集』は幸いありました。こちらへとって置きましょう・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・を抱いているとき、シュミット博士から、北極探検隊の航空方面の予定を作るようにと云いわたされて、彼が書いた報告書の性質である。「北極飛行」の筆者は語っている。「これらの人々と倶に私は、幾十回となく危機に遭遇し、その度に全精力を緊張さして困難な・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・報道映画の世界的傑作の一つとして、シュミット博士一行の「チェレシュキン号の最後」の新鮮な感動や人間的活動の美しさを記憶している夥しい人々は、ここにも自然に対して知慧ふかく順応しつつその条件を人間生活の豊富化のために積極的にとらえて行く活力の・・・ 宮本百合子 「文芸時評」