出典:青空文庫
・・・をはじめ、ヘッセの傑作も「轍の下」「青春彷徨」などは直接青年の自己確立の過程、人間の目ざめの若々しくゆたかな苦悩を描いている。ロマン・ローランの「ジャン・クリストフ」もそういう文学として世界にあまり類のない作品である。ルナールの「にんじん」・・・ 宮本百合子 「生きつつある自意識」
・・・ ヘルマン・ヘッセは本郷辺は売切れですから神田をみましょう。こんなありふれた本でさえ増刷を制限しているものだからこの始末です。楠書店はまだはっきりしたことがわからないので、明日でもまた電話してみます。 この間手紙で申しあげたように、・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
ヘルマン・ヘッセの「車輪の下」は、ヘッセの作品のなかでも多くの人々に愛読されているものだろうと思う。同じ岩波文庫で「青春彷徨」が出ていて、ヘッセを詩人として確立させたこの作は、二十世紀初頭の文化や文学に対して二十七歳だった・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」