出典:青空文庫
・・・ フォイエルバッハはヘーゲルからエンゲルスの橋渡しとして、ヘーゲルの弁証法を唯物弁証法に媒介した意味で科学的社会主義の先駆ともいえる。 彼によれば「人間相互の共同」が真理の普遍性の最初の原理である。認識において自己以外の他の物体の存・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・ロックやヒュームやカントには多少の耳を借しても、ヘーゲルやフィヒテは問題にならないらしい。これはそうありそうな事である。とにかく将来の哲学者は彼から多くを学ばねばなるまい。ショーペンハウアーとニーチェは文学者として推賞するのだそうである。し・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・ カント以後、主観的自己の立場を否定して、純なる論理的立場に立った人は、ヘーゲルである。フィヒテが「自己が自己である」Ich-Ich という立場から出立したのに反して、ヘーゲルは「有」から出立した。ヘーゲルの哲学は、自己自身によってあり・・・ 西田幾多郎 「デカルト哲学について」
・・・ベルリンには、ヘーゲル哲学の進歩的な面をとりあげて、その弁証法的な方法を発展させようとする若い哲学者の一団があった。ヘーゲル左党と呼ばれたこの一団は、ドクトル・クラブを組織していて、十九歳のマルクスはこのグループに入った。ドクトル・クラブは・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・だからこうしてこの日のまわりには花飾りがつけられたのです。ヘーゲルの話は大変面白く思いました。何故なら私はこの手紙の二十九日の分で書いているように、ヘーゲルが筋の立った理屈にまとめて考えていることを全身全心で感覚し、その中心情熱によって、さ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」