出典:青空文庫
・・・レーノルズの全集をひやかしてこの異彩ある学者を礼讃してみたり、マクスウェルの伝記中にあるこの物理学者の戯作ヴァンパヤーの詩や、それを飾る愉快に稚拙なペン画を嬉しがったりした。そんな下らないことが、今から考えてみると、みんな後年の自分の生涯に・・・ 寺田寅彦 「科学に志す人へ」
・・・しかるにもし人間以上の官能を有するいわゆるマクスウェルの魔のごときものありて、分子一つ一つの排置運動を認めその運動や結合の方則を知りて計算するを得ば、少なくも吾人が日蝕を予報するくらいの確かさをもってこれらの現象を予報するを得べし。・・・ 寺田寅彦 「自然現象の予報」
・・・後にはエーテルと称する仮想物質の弾性波と考えられ、マクスウェルに到ってはこれをエーテル中の電磁的歪みの波状伝播と考えられるに到った。その後アインスタイン一派は光の波状伝播を疑った。また現今の相対原理ではエーテルの存在を無意味にしてしまったよ・・・ 寺田寅彦 「物質とエネルギー」
・・・ものは、われわれのこの自然に起こる自然現象を支配する未知の統計的自然方則であって、それは――もしはなはだしい空想を許さるるならば――熱力学第二方則の統計的解釈に比較さるべき種類のものではあり得ないか。マクスウェル、ボルツマン、アーレニウスら・・・ 寺田寅彦 「量的と質的と統計的と」
・・・しかし読物には事を欠かなくてマクスウェルの電磁気論や、マクスウェル及びヘルムホルツの色の研究、それからストークスやウィリアム・タムソンの主要な論文を読み、傍らまたミルの論理学や経済論を読んでいた。 一八六六年二十四歳で Trinity ・・・ 寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」