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・・・保吉は煙草を啣えたまま、蜥蝪はきっとラマルクよりもラマルキアンに違いないと思った。が、しばらく眺めていると、蜥蜴はいつか砂利に垂れた一すじの重油に変ってしまった。 保吉はやっと立ち上った。ペンキ塗りの校舎に沿いながら、もう一度庭を向うへ・・・
芥川竜之介
「保吉の手帳から」
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一、リュシアン ソレルとは全くちがったリュシアン・ルーヴェン。一八三二年六月五日、六日ラマルク将軍の葬式に際し60フランかせぎたい 一個人間として自信をもちたい)○リュシアンはナンシーにゆく。陰気で保守的な反政府・・・
宮本百合子
「「緑の騎士」ノート」