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・・・軸は太祇の筆であろう。黄色い芭蕉布で煤けた紙の上下をたち切った中に、細い字で「赤き実とみてよる鳥や冬椿」とかいてある。小さな青磁の香炉が煙も立てずにひっそりと、紫檀の台にのっているのも冬めかしい。 その前へ毛氈を二枚敷いて、床をかけるか・・・
芥川竜之介
「老年」
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・・・ 蕪村の交わりし俳人は太祇、蓼太、暁台らにしてそのうち暁台は蕪村に擬したりとおぼしく、蓼太は時々ひそかに蕪村調を学びしこともあるべしといえども、太祇に至りては蕪村を導きしか、蕪村に導かれしか、今これを判するを得ず。とにかくに蕪村が幾分か・・・
正岡子規
「俳人蕪村」