出典:青空文庫
・・・ ゴーリキーの小説『母』の中の母親や、拙作『布施太子の入山』の中の太子の母などは、この種の道と法とに高められ、照らされた、母性愛を描いたものである。 私は数年前、『女性美の諸段階について』というエッセイを書いたことがあった。その中で・・・ 倉田百三 「女性の諸問題」
・・・ 一九〇五年からあとのロシアの反動期を通じて、チェホフが一見しずかそうな彼の文学の底を貫いてもちつづけた科学性に立つ正義感の水脈をつたわり、つつましいコロレンコが若いゴーリキーのうちに未来への期待をかけたその社会性、人民性に対する待望の・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
・・・ 世界のブルジョアどもも、マクシム・ゴーリキーが当代のプロレタリア作家の真摯な長老であり、優れた作家であることは認める。しかし、彼のすべての芸術的天分、プロレタリア解放への永い年月の実践を、最も効果的に国際的に輝かしく未来に向って意味を・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・ 例えば、ゴーリキーの生れたニージュニ・ノヴゴロド市について見よう。一九二七年、このヴォルガ河に面した古い都会はどんな意味をソヴェトのプロレタリアートに対してもっていただろうか? ニージュニ・ノヴゴロド市には、夏になると、昔から有名・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・[自注4]クリムサムギンのおじいさん――百合子はマクシム・ゴーリキーの伝記を書こうとしていた。[自注5]去年も一昨年もひどい夏でした――一九三四年の夏は二人とも留置場生活中であった。一九三五年の夏はまた百合子が留置場生活であった。・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ アメリカからエジソンがソヴェト見学にやって来たとする。ゴーリキーがソレントから故郷へ客に来たとする。彼等の荷物にもちろんこんなソヴェト市民の旅行籠なんぞないにきまっている。 時間さえあったらエジソンは「学者の家」を訪問することをこ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・チェホフとゴーリキーとで世界に馴染のモスクワ芸術座。国立アカデミー小劇場のように、革命以前からの古い伝統をもち、現在でも次に来るべき若いソヴェト演劇技術家指導に重大な役割を演じている劇場だ。 第二群は、革命以前から存在し、現在はソヴェ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・そして、ゴーリキー、デミヤン・ベードヌイ、セラフィモヴィッチ、ファジェーエフ、バトラーク、グラトコフ、セリヴィンスキー、メイエルホリド、ベズィメンスキー、イズバフ、オリホーヴイなどが、バルチック艦隊文学研究会員、赤軍機関雑誌編輯者、赤衛軍劇・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・トルストイ、トゥルゲニェフ、チェホフ、ゴーリキー、リベディンスキー、グラトコフ。それらの英訳が各国の翻訳論文集や、ミル、アダム・スミスとともに立ててある。ここは本屋でもある。正面の勘定台に男が二人、一人は立ったまま何か読んでいる。黒い細いリ・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」