出典:青空文庫
・・・現実での暴虐、流血を神秘主義に色どって、その強烈さで、理性を麻痺させることは、ヒトラーの方式であった。その拙劣な真似に、日本の軍部の方式があった。「暁に祈る」が、その名称そのもので実証した。 黄色い特派員 ・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・その墓はひとたびはヒトラーによって破壊された。けれども彼らの墓が形の上でどうなろうとも、ドイツの人民が三度めの戦争に挑発され、世界人民の生活破壊者とさせられることに抵抗して、人民的祖国ドイツの独立をねがっている人々の愛情のなかに、カールとロ・・・ 宮本百合子 「三つの愛のしるし」
・・・四月六日の『読売報知』には、ヒトラー、ムッソリニ礼讚の自著『世界の顔』についての、外人記者との対談で、「武士道は日本精神の精髄で、ナチス精神との間には多分の近似性がある」と、心ある全国民を戦慄させる断言をしている。ヨーロッパ、アメリカの政治・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
・・・五月末に独伊軍事同盟が結ばれ、三ヵ月のちの八月には独ソ不可侵条約を締結した。ヒトラーの政府はラジオをもってこのことを公表した。ナチス軍のポーランド進撃は、それから僅か十日のちのできごとであった。第二次世界大戦はこういう手順でナチスによって放・・・ 宮本百合子 「私の信条」