出典:青空文庫
・・・ アインシュタインはヘルムホルツなどと反対で講義のうまい型の学者である。のみならず講義講演によって人に教えるという事に興味と熱心をもっているそうである。それで学生や学者に対してのみならず、一般人の知識慾を満足させる事を煩わしく思わない。・・・ 寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
・・・ ヘルムホルツが「人間が鳥と同じようにして空を翔ける事はできない」と言ったのに、現に飛行機ができたではないかという人があらばそれは見当ちがいの弁難である。現在でも将来でも鳥のように翼を自分の力で動かして、ただそれだけで鳥のように翔ける事・・・ 寺田寅彦 「案内者」
・・・先年小田原の浜べで大波の日にヘルムホルツの共鳴器を耳に当て波音の分析を試みたことがあったが、かなりピッチの高い共鳴器で聞くとチリチリチリといったように一秒間に十回二十回ぐらいの割合で断続する轢音が聞こえる、それがいくらかこの蝗群の羽音に似通・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・そういうものの中でもファラデー、ヘルムホルツ、マッハ、ブラグなどのものはすぐれた例である。それがすぐれている所因は単に事がらを教えるのみでなく、科学的なものの考え方を教え、科学的の精神を読者の中によびさますからである。そういうものを書きうる・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・ ハイディンガーがこの現象を発見してまもなく、ヘルムホルツがこれをたしかめようと思って実験したがどうしても見えなかった。それから十二年後になって、ある日ひょいとニコルをのぞいて見たらただの一ぺんでこれが見つかったそうである。人により、時・・・ 寺田寅彦 「錯覚数題」
・・・ 月や太陽が三十メートルさきの隣家の屋根にのっかっている品物であったらそれはたしかに盆大である。しかし実際は二億二千八百万キロメートルの距離にある直径百四十万キロメートルの火の玉である。 ヘルムホルツは薄暮に眼前を横ぎった羽虫を見て・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・それにもかかわらず母音の組成に関する秘密はまだ完全に明らかにはならない。ヘルムホルツ、ヘルマン以来の論争はまだ解決したとは言われないようである。このような方面にはまだたくさんの探究すべき問題が残っている。ことに日本人にとっては日本語の母音や・・・ 寺田寅彦 「蓄音機」
・・・クラドニの実験や、またヴァイオリンの場合に松やにをつけた毛で摩擦する際にどうして振動が継続されるかの問題についてはヘルムホルツ以来本質的にはほとんど一歩も進んだ解釈は与えられていないように思う。もちろんただ通り一ぺんの説明はついている。すな・・・ 寺田寅彦 「日常身辺の物理的諸問題」
・・・しかして当時の学界へのパッスを所有していた他のルクレチウスの子孫ヘルムホルツによって始めて明るみに出るようになった。 現代の科学がルクレチウスだけで進められようとは思われない。しかしルクレチウスなしにいかなる科学の部門でも未知の領域に一・・・ 寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
・・・しかし読物には事を欠かなくてマクスウェルの電磁気論や、マクスウェル及びヘルムホルツの色の研究、それからストークスやウィリアム・タムソンの主要な論文を読み、傍らまたミルの論理学や経済論を読んでいた。 一八六六年二十四歳で Trinity ・・・ 寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」