出典:青空文庫
・・・を保田与重郎が送ってくれ、わがひととは、私のことだときめて再読、そのほか、ダヴィンチ、ミケランジェロの評伝、おのおの一冊、ミケランジェロは再読、生田長江のエッセイ集。以上が先月のまとまった読書の全部である。ほかに、純文芸冊子を十冊ほど読んだ・・・ 太宰治 「碧眼托鉢」
・・・におくる言葉 ひややかにみづをたたへて かくあればひとはしらじな ひをふきしやまのあととも 右は、生田長江のうたである。「衰運」読者諸兄へのよき暗示ともなれば幸甚である。 君、あとひとつき寝れば、二十五・・・ 太宰治 「もの思う葦」
・・・そのくせニイチェの名前だけは、日本の文壇に早くから紹介されて居た。生田長江氏がその全訳を出す以前にも、既に高山樗牛、登張竹風等の諸氏によつて、早く既に明治時代からニイチェが紹介されて居た。その上にもニイチェの名は、一時日本文壇の流行児でさへ・・・ 萩原朔太郎 「ニイチェに就いての雑感」