うつ・し【現し/顕し】
[形シク]《「うつつ」と同語源》 1 現実にこの世に生きている。「葦原の中つ国にあらゆる—・しき青人草」〈記・上〉 2 正気である。気が確かである。「春の日のうら悲しきにおくれゐて君に恋ひつつ—...
うつし‐おみ【現しおみ】
この世に人としての姿を現しているもの。生きている現実の人。「かしこし、我が大神、—あらむとは覚らざりき」〈記・下〉 [補説]「おみ」の語義は「臣」かという。「大身」「御身」とするのは、上代の音韻...
うつし‐びと【現し人】
1 (死者に対して)この世に生きている人。「—にてだに、むくつけかりし人の御けはひの」〈源・若菜下〉 2 (出家に対して)在俗の人。俗人。「—にては世におはせむも、うたてこそあらめ」〈源・手習〉
うつし‐よ【現し世】
この世。現世。
うつせみ【空蝉】
《「うつしおみ」が「うつそみ」を経て音変化したもの》 1 この世に現に生きている人。転じて、この世。うつしみ。「いにしへもしかにあれこそ—も妻を争ふらしき」〈万・一三〉 2 《「空蝉」「虚蝉」な...
うつつ【現】
1 この世に現に存在しているもの。現実。夢・虚構などに対していう。「夢か—か幻か」 2 意識の正常な状態。正気。「—に返る」 3 《「夢うつつ」「夢かうつつか」などの形で用いられるところから誤っ...
うまれ‐お・ちる【生(ま)れ落ちる】
[動タ上一][文]うまれお・つ[タ上二]この世に生まれ出る。「—・ちてこのかた日本から出たことがない」
うまれ‐かえ・る【生(ま)れ返る】
[動ラ五(四)]死んだ者が新たな生命を得て、再びこの世に生まれてくる。「仏様のお蔭で先の子が—・ってきたと思いこんで」〈中勘助・銀の匙〉
うま・れる【生(ま)れる/産(ま)れる】
[動ラ下一][文]うま・る[ラ下二] 1 子が母親の胎内から出る。また、卵からかえる。出生する。誕生する。「子猫が四匹—・れる」「商家に—・れる」 2 新しく作り出されて、世に出る。物事が新たに...
うよ‐ねはん【有余涅槃】
仏語。この世に生きながら得られた悟りの境地。小乗の悟り。⇔無余涅槃。