はい‐いり【這ひ入り】
1 這って中にはいること。「ともし火の消えて、—に暗ければ」〈かげろふ・下〉 2 門の入り口。はいり口。「妹が家の—に立てる青柳に今やなくらむ鶯の声」〈後撰・春上〉
はい‐い・る【這ひ入る】
[動ラ四]這って中へはいる。「村雨のまぎれにて、え知り給はぬに、かろらかにふと—・り給ひて」〈源・賢木〉
はい‐かく・る【這ひ隠る】
[動ラ下二]這うようにしてこそこそと隠れる。ひそみ隠れる。「世離れたる海づらなどに—・れぬるをりかし」〈源・帚木〉
はい‐たもとお・る【這ひ徘徊る】
[動ラ四]「はいもとおる」に同じ。「若子(みどりこ)の—・り朝夕(あさよひ)に音(ね)のみそ我(あ)が泣く君なしにして」〈万・四五八〉
はい‐で【這ひ出】
1 這い出ること。また、そのもの。「跡を濁さぬ水の面、—の蛙」〈浄・薩摩歌〉 2 田舎から都会に奉公に出てきたばかりであること。また、その者。山だし。「播磨の三木より—の丁稚(でっち)を召し連れ...
はい‐ふ・す【這ひ伏す】
[動サ四]腹ばいになって伏す。「大きなる木ども…女郎花(をみなへし)などの上によろぼひ—・せる」〈能因本枕・一八六〉
はい‐まぎ・る【這ひ紛る】
[動ラ下二]身を低くして隠れる。こっそり隠れる。「いづくに—・れて、かたくなしと思ひゐたらむ」〈源・空蝉〉
はい‐まじ・る【這ひ交じる】
[動ラ四]這いのびて入り交じる。「朝顔の—・れる籬(ませ)もみな散り乱れたるを」〈源・野分〉
はい‐もとお・る【這ひ徘徊る】
[動ラ四]這いまわる。「鶉(うづら)なすい—・り」〈万・一九九〉
はい‐わた・る【這ひ渡る】
[動ラ四] 1 這って渡る。また、這うようにして行く。「物のそばよりただ—・り給ふほどぞ、ふとうち見えたる」〈源・野分〉 2 近い距離で、車など用いずに歩いて行く。「乗り物なきほどに—・るほどな...