ただ‐ごと【徒事/只事/唯事】
《古くは「ただこと」》取り立てていうほどのこともない事柄。普通のこと。多く、あとに打消しの語を伴って用いる。「あの騒ぎは—ではない」
ただ‐ごと【徒言/只言】
《古くは「ただこと」》技巧などを用いない、ありのままの言葉。歌語でも比喩でもない日常の言葉。「これは、—に言ひて、物にたとへなどもせぬものなり」〈古今・仮名序〉
ただ‐ただ【唯唯/只只】
[副]「ただ」を強めていう語。ひたすら。もっぱら。「—みごとというほかはない」「—友の無事を祈る」
ただ‐とり【只取り】
[名](スル)《「ただどり」とも》ただで手に入れること。代償を払わないで自分のものにすること。
只取(ただと)り山(やま)の時鳥(ほととぎす)
ただで手に入れることを、しゃれていう語。只取り山。「酒は奈良からや、京からや、伊丹からや、池田からや、—」〈胆大小心録〉
ただ‐なか【直中/只中】
1 まん中。「大海の—に浮かぶ島」 2 まっ最中。まっ盛り。「暴風雨の—に外出する」 3 その代表。随一のもの。「当世女の—、広い京にもまたあるべからず」〈浮・五人女・三〉
ただ‐に【唯に】
[副]単に。もっぱら。ただ。多く、下に打消しの語を伴う。「—勉学のみならずスポーツにもすぐれている」
ただ‐のり【只乗り】
[名](スル)料金を払わないで乗り物に乗ること。無賃乗車。→薩摩守(さつまのかみ)
ただ‐ばたらき【只働き】
[名](スル) 1 報酬をもらわないで働くこと。「厚意で—する」 2 働いてもその効果のないこと。「努力が—に終わる」
ただ‐びと【徒人/直人/只人】
《古くは「ただひと」》 1 普通の人。常人。凡人。「げに—にはあらざりけりとおぼして」〈竹取〉 2 天皇や皇族に対して、臣下の人。「二条の后のまだ帝にも仕うまつり給はで、—にておはしましける時」...