にき‐しね【和稲】
《後世は「にぎしね」とも》もみをすりとった稲。にこしね。「みかの腹満(み)てならべて、—、荒稲に」〈祝詞・竜田風神祭〉
にき‐たえ【和妙/和栲】
《後世は「にぎたえ」とも》織り目の細かい布の総称。また、打って柔らかくしてさらした布。にこたえ。→荒妙(あらたえ)「片手には木綿(ゆふ)取り持ち片手には—奉(まつ)り」〈万・四四三〉
にき‐たま【和魂】
《後世は「にぎたま」とも》「にきみたま」に同じ。「大君の—あへや豊国の鏡の山を宮と定むる」〈万・四一七〉
にき‐て【和幣/幣帛/幣】
《後世は「にぎて」「にきで」とも》榊(さかき)の枝に掛けて、神前にささげる麻や楮(こうぞ)で織った布。のちには絹や紙も用いた。「下枝(しづえ)には青—、白—をとりしでて」〈神代紀・上〉
にき‐はだ【和肌/柔膚】
柔らかな肌。やわはだ。にこはだ。「夫(つま)の命(みこと)のたたなづく—すらを剣大刀(つるぎたち)身に副(そ)へ寝ねば」〈万・一九四〉
にき・ぶ【和ぶ】
[動バ上二]なれ親しむ。うちとける。「—・びにし家ゆも出でて」〈万・四八一〉
にき‐みたま【和御魂/和魂】
《後世は「にぎみたま」とも》柔和な徳を備えた神霊。にきたま。⇔荒(あら)御魂。「大和の—は静まりて」〈出雲国風土記〉
にき‐め【和布】
《後世は「にぎめ」とも》柔らかな海草。ワカメの類。「角島(つのしま)の瀬戸のわかめは人のむた荒かりしかど我とは—」〈万・三八七一〉
にこ【和/柔】
[語素]やわらかい、こまかいの意を表す。「—やか」「—毛」
にこ‐ぐさ【和草】
葉や茎の柔らかい草。一説に、ハコネシダの古名とも。多く序詞に用いられる。「葦垣の中の—にこよかに我(われ)と笑まして人に知らゆな」〈万・二七六二〉