せ‐の‐きみ【背の君/兄の君/夫の君】
「せ(兄)」の敬称。「流らふるつま吹く風の寒き夜に我が—はひとりか寝(ぬ)らむ」〈万・五九〉
せ‐ろ【夫ろ/兄ろ】
「せこ(夫子)」の上代東国方言。「多由比潟潮満ち渡るいづゆかもかなしき—が我(わ)がり通はむ」〈万・三五四九〉
そ【其/夫】
[代] 1 中称の指示代名詞。それ。「受付は—を受け取り」〈独歩・牛肉と馬鈴薯〉 「妹が門(かど)行き過ぎかねつひさかたの雨も降らぬか—をよしにせむ」〈万・二六八五〉 2 三人称の人代名詞。その...
それ【其れ】
[代] 1 中称の指示代名詞。 ㋐聞き手が持っている物、または、聞き手のそばにある物をさす。そのもの。「ちょっと—を見せてください」 ㋑聞き手がいま話題にしたばかりの事物などをさす。そのこと。...
それ‐ぞれ【其れ其れ/夫れ夫れ】
複数の物・人の、ひとつひとつ・ひとりひとり。おのおの。めいめい。副詞的にも用いる。「—が自分の道を選ぶ」「地方によって—習慣が違う」 [用法]それぞれ・おのおの——「持っていく荷物のそれぞれ(お...
つま【夫/妻】
《「端(つま)」の意》 1 夫婦や恋人が、互いに相手を呼ぶ称。「吾(あ)はもよ女(め)にしあれば汝(な)を置(き)て男(を)はなし汝を置て—はなし」〈記・上・歌謡〉 2 動物のつがいで、互いの相...
つま‐がさね【夫重ね】
夫がありながら、他の男と肉体関係を結ぶこと。「せめて濁らぬ人さんと道ならねども—」〈久保田彦作・鳥追阿松海上新話〉
つま‐ごい【妻恋/夫恋】
夫婦が、互いに相手を恋い慕うこと。鹿などの動物にもいう。
つまごみ‐に【夫籠みに/妻籠みに】
[連語]《「ごみ」は上二段動詞「こ(籠)む」の連用形の音変化》つまをこもらせるために。つまごめに。「—八重垣作るその八重垣を」〈記・上・歌謡〉 [補説]一説に、夫婦ともにの意ともいう。
つまごめ‐に【夫籠めに/妻籠めに】
[連語]《「ごめ」は下二段動詞「こ(籠)む」の連用形の音変化》「つまごみに」に同じ。「—八重垣作るその八重垣を」〈神代紀・歌謡〉