そくてん‐きょし【則天去私】
《天に則(のっと)り私を去るの意》夏目漱石が晩年に文学・人生の理想とした境地。自我の超克を自然の道理に従って生きることに求めようとしたもの。漱石自身の造語。
そつひこ‐まゆみ【襲津彦真弓】
葛城(かつらきの)襲津彦が用いたという強い弓。「葛城の—荒木にも頼めや君が我が名告(の)りけむ」〈万・二六三九〉
袖(そで)返(かえ)・す
1 袖を裏返しにする。こうして寝ると、夢に恋人が現れるという俗信があった。「我妹子(わぎもこ)に恋ひてすべなみ白たへの—・ししは夢に見えきや」〈万・二八一二〉 2 舞うときなどに、袖をひるがえす...
そでつけ‐ごろも【袖付け衣】
1 端袖(はたそで)のついた長袖の衣。「宮人の—秋萩ににほひ宜(よろ)しき高円(たかまと)の宮」〈万・四三一五〉 2 袖のついた衣。肩衣(かたぎぬ)に対していう。「頸付(うなつき)の童髪(わらは...
袖(そで)に時雨(しぐ)・る
袖に時雨が降りかかる。袖に涙が落ちるたとえ。「我ながら思ふか物をとばかりに—・るる庭の松風」〈新古今・雑中〉
そで‐の‐しずく【袖の雫】
袖にかかる涙。「よそにふる人は雨とも思ふらむ我が目にちかき—を」〈和泉式部集・上〉
そとも【背面/外面】
《「背(そ)つ面(おも)」の音変化》 1 後ろの方。また、そとがわ。そと。「暇を告て、堂の—に出行きたり」〈竜渓・経国美談〉 2 山の日の当たる方から見て後ろになる側。北側。⇔影面(かげとも)。...
そば‐む・く【側向く】
[動カ四]横を向く。「少し—・きたる姿、まことにらうたげなり」〈宇治拾遺・一〇〉 [動カ下二]横へ向ける。「何とて我より御顔を—・け給ふぞ」〈ぎやどぺかどる・上〉
側目(そばめ)にか・く
1 横目に見る。「月をすこし—・けつつ」〈平家・四〉 2 冷たい目で見る。「御気色もあしく、傍輩も、—・けければ」〈曽我・一〉
そぼ・つ【濡つ】
《古くは「そほつ」「そほづ」》 [動タ四] 1 雨や涙などにしっとり濡れる。うるおう。「浅みにや人はおりたつ我がかたは身も—・つまで深きこひぢを」〈源・葵〉 2 雨がしとしと降る。そぼ降る。→...