きこえ【聞(こ)え】
1 聞こえること。「電話の—が悪い」 2 評判。うわさ。「秀才の—が高い」 3 聞いて感じるところ。外聞。「大会社の部長といえば—もよいが」
きこえ‐あ・う【聞こえ合ふ】
[動ハ四]「言い合う」の謙譲語。大勢が口々に申し上げる。「御前にさぶらふ人々、いさやえこそ聞こえ定めね、と—・へり」〈源・東屋〉
きこえ‐い・ず【聞こえ出づ】
[動ダ下二] 1 外部に話がもれる。うわさになる。「おほかた—・でば、いかに北の方宣(のたま)はむ」〈落窪・一〉 2 「言い出ず」の謙譲語。口に出して申し上げる。「昔の御事ども—・で給ひて」〈源・葵〉
きこえ‐かえ・す【聞こえ返す】
[動サ四]「言い返す」の謙譲語。 1 お答え申し上げる。お返事申し上げる。「御答(いら)へを、いささか恥づかしとも思ひたらず—・し」〈枕・一八四〉 2 御辞退申し上げる。「すずろにむつかしきわざ...
きこえ‐かよ・う【聞こえ通ふ】
[動ハ四]「言い通う」の謙譲語。お話申し上げる。便りを差し上げる。「何やかやと御消息のみ—・ひて」〈源・総角〉
きこえ‐かわ・す【聞こえ交はす】
[動サ四]「言い交わす」の謙譲語。お話を申し上げたりうかがったりする。便りを差し上げたりいただいたりする。「いまは、いづかたも疎疎(うとうと)しからず、—・し給へど」〈狭衣・三〉
きこえ‐ご・つ【聞こえ言つ】
[動タ四]《「聞こえ言(ごと)」の動詞化》目上の方のうわさなどを口にする。目上の方のお耳に入るように話をする。「人につきて—・つを聞くを」〈かげろふ・上〉
きこえ‐さ・す【聞こえさす】
[動サ下二]《「言う」の謙譲語「聞こゆ」に使役の助動詞「さす」が付いて、その謙譲の度合いを強めた語》 1 申し上げる。「せちに—・すべき事なむある」〈大和・一五五〉 2 手紙を差し上げる。「人伝...
きこえ‐さ・す【聞こえ止す】
[動サ四]「言い止す」の謙譲語。申し上げかけて途中でやめる。「人々参れば、—・しつ」〈源・玉鬘〉
きこえ‐や・る【聞こえ遣る】
[動ラ四]「言い遣る」の謙譲語。 1 手紙や伝言などをお伝え申し上げる。「姨捨山の月にはあらぬわが心も—・らむ方なくて」〈狭衣・四〉 2 (多く打消しの形で用いる)言うべきことを最後まで申し上げ...