ことなし‐がお【事成し顔】
その事を成し遂げてみせるといった顔つき。「そらごとする人の、さすがに人の—にて大事請けたる」〈枕・一六四〉
ことなし‐び【事無しび】
何事もないそぶり。なんでもないふり。「—に書き給へるが、をかしく見えければ」〈源・総角〉
ことなし・ぶ【事無しぶ】
[動バ上二]何事もないそぶりをする。知らないふりをする。「いみじく心もとなくのみおぼえ給へば、言すくなに—・びて」〈夜の寝覚・四〉
事(こと)成(な)・る
1 事が成就する。また、事が無事に済む。「相(あひ)とぶらひ—・りしかばかき結び」〈万・一七四〇〉 2 その時になる。事が始まる。「ものも見で帰らむとし給へど…、—・りぬと言へば」〈源・葵〉
事(こと)に当(あ)た・る
1 物事を担当する。従事する。「式典には全社をあげて—・った」 2 事件に遭遇する。「—・りて津の国の須磨といふ所にこもり侍りけるに」〈古今・雑下・詞書〉
事(こと)に触(ふ)れて
何かのことに関連して。何かにつけて。折に触れて。「—その件をもち出す」
事(こと)に依(よ)・る
事にかかわる。場合次第である。「親切なのも—・る」
事(こと)に依(よ)ると
事と次第では。もしかすると。事によったら。「—病気かもしれない」
こと‐の‐きこえ【事の聞こえ】
ある事についてのうわさ。評判。とりざた。「さて宮の内には—有るべければ」〈栄花・浦々の別〉
こと‐の‐こころ【事の心】
1 事の意味や趣意。「神代には、歌の文字も定まらず素直にして、—分きがたかりけらし」〈古今・仮名序〉 2 内情。事情。「この—知れる人、女房の中にもあらむかし」〈源・柏木〉