うつ【全/空/虚】
[接頭] 1 (全)名詞に付いて、すっかり、全く、全部の意を表す。「皮を—はぎに剝(は)ぎて」〈記・上〉 2 (空・虚)名詞に付いて、うつろな、空虚な、の意を表す。「—蝉(せみ)はからを見つつも...
うつお【空/虚/洞】
1 中がからになっていること。また、そのようなもの。うつろ。うろ。「この唐櫃(からびつ)をこそ心にくく思ひつれども、これも—にて物なかりけり」〈今昔・二九・一二〉 2 岩や樹木にできた空洞。ほら...
うつほ【空/虚/洞】
⇒うつお(空)
うつ・く【空く/虚く】
[動カ下二]「うつける」の文語形。
うつけ【空け/虚け】
《動詞「うつ(空)ける」の連用形から》 1 中のうつろなこと。から。からっぽ。 2 愚かなこと。ぼんやりしていること。また、そのような者。まぬけ。「余りに頼効(たのみがい)なき—の罪を」〈鏡花・...
うつ・ける【空ける/虚ける】
[動カ下一][文]うつ・く[カ下二]《「うつ(空)」の動詞化》 1 気が抜けたようになる。ぼんやりする。「—・けた顔つき」 2 中がうつろになる。「鹿の角のごとくして—・けたる国なり」〈熱田神宮...
うつせ【空/虚】
1 貝殻。うつせがい。「いかなる様にて、いづれの底の—にまじりけむ」〈源・蜻蛉〉 2 中身のないこと。から。空虚。「手を通さねば便なき袖は—のうちかけ姿」〈浄・聖徳太子〉
うつせ‐がい【空貝/虚貝】
1 海岸に打ち寄せられた、からになった貝。貝殻。和歌では「実なし」「むなし」「あはず」や同音の反復で「うつし心」などを導く序詞に用いられる。「上には白銀(しろがね)、黄金(こがね)の蛤(はまぐり...
うつせみ【空蝉】
《「うつしおみ」が「うつそみ」を経て音変化したもの》 1 この世に現に生きている人。転じて、この世。うつしみ。「いにしへもしかにあれこそ—も妻を争ふらしき」〈万・一三〉 2 《「空蝉」「虚蝉」な...
うつゆう‐の【虚木綿の】
[枕]「こもり」「真狭(まさき)」にかかる。「—隠(こも)りてをれば」〈万・一八〇九〉