にしても/とはいえ/からといって/に(も)かかわらず/ところで の解説 - 小学館 類語例解辞典

にしても/とはいえ/からといって/に(も)かかわらず/ところで の共通する意味

逆接の確定条件を表わす。

にしても/とはいえ/からといって/に(も)かかわらず/ところで の使い方

にしても
▽転勤は仕方ないにしても、月に二、三回は帰って来たい ▽無理やり結婚させられたにしても、一緒に暮らせば情が移ってくるはずだ
とはいえ
▽知らぬこととはいえ、大変失礼をいたしました ▽順調に回復しているとはいえ、いつまた発作が起きるかわからない
からといって
▽暑いからといってそんなに冷たい物ばかり飲んではいけない ▽日本女性だからといってすべての人がお茶やお花ができるというわけではない
に(も)かかわらず
▽(1)あれだけ注意したにもかかわらず、また同じミスを犯している ▽(2)その店は人手不足にもかかわらず、いつも行き届いたサービスをしてくれる
ところで
▽決まってしまったことに文句を言ったところで何の意味もない ▽そんなに食べ物を買いこんだところで食べきれるわけがない

にしても/とはいえ/からといって/に(も)かかわらず/ところで の使い分け

「にしても」は、「XにしてもY」の形で、自分のもとの考えを一歩譲って、Xを事実と認めるが、それでもY、という関係を表わし、「とはいえ」は、「XとはいえY」の形で、Xは確かに本当だが、しかし実際にはY、という関係を表わす。表例(1)で見ると、「にしても」の場合は、話し手にはもともと校則を残すことに問題はないという考えがあったが、周囲の意見を受けて一歩譲り、校則を残すことにいろいろな問題はあるかもしれないと一応認めた上で、それでもやはり校則は残すべきだと主張する意識の流れが感じられる。一方、「とはいえ」の場合には、校則を残すことにいろいろな問題があることを、話し手がもともと認めている意味合いがある。
「からといって」は、ただそれだけの理由で…することはない、いくらそうであっても…しては困る、という意味を表わし、文末には「とは限らない」「わけではない」「べきではない」など、話し手の否定的な判断や批判を加える表現がきやすい。
「に(も)かかわらず」は、「Xに(も)かかわらずY」の形で、Xの状況から当然予想されるZという結果があるのに、実際はそれとは違うYが生じたことを表わしている。あるべき姿で常識的な結果であるZに反して、Yはプラスの意味(例文(2))でもマイナスの意味(例文(1))でも予想からずれている状況を示す。なお、この用法とは別に、「出席するしないにかかわらず、一律千円の会費をいただきます」のように、「XYにかかわらず」の形で、XでもYでも関係なく、の意を表わす場合もある。これは、「も」を入れない「にかかわらず」だけの用法で、肯定否定の表現、相補関係にある熟語(「大小」「昼夜」「晴雨」など)などを受ける。
「ところで」は、「XしたところでY」の形で、すでにXをしたけれど、それは無意味でむだなこと、役に立たないこと、予期に反したこと(Y)に終わるだろう、という話し手の気持ちを表わす。プラスの意味でもマイナスの意味でも用いられる。

にしても/とはいえ/からといって/に(も)かかわらず/ところで の関連語

としても・にしたって・にしろ・にせよ
「にしても」と同じような意味を表わす。「台風で電車が止まったとしても、今日は是非とも会社に行かなければならない」「いくら疲れているにしたって、ちょっとシャワーぐらい浴びられるでしょ」「直接の利害関係はないにしろ、あの二人がどこか裏でつながっていることは確かだ」「それなりの苦労はしたにせよ、祖父の人生は恵まれていたと言える」
と(は)いっても・とはいうものの・ものの
「とはいえ」と同じような意味を表わす。「人間はみな平等だとはいっても、現実には金持ちも貧乏人もいる」「一点リードしているとはいうものの、いつ逆転されるかわからない」「教科書を開きはしたものの、何も頭に入って来ない」
ものを
「に(も)かかわらず」と同じ意味だが、不満・非難・うらみなどの気持ちが強い。「決してしゃべってはいけないと言われていたものを、とうとうすっかり白状してしまった」

にしても/とはいえ/からといって/に(も)かかわらず/ところで の類語対比表

①いろいろな問題がある(あった)…校則は残すべきだいろいろな問題がある(あった)…校則はなくすべきではないいろいろな問題がある(あった)…校則は残すことにしたいろいろな問題がある(あった)…たいしたことはない
にしても
とはいえ
からといって
に(も)かかわらず
ところで(あった)△(あった)△(あった)○

にしても/とはいえ/からといって/に(も)かかわらず/ところで の類語 - 日本語ワードネット

にもかかわらず の類語

それと反対(通常、譲歩に続く)な何にもかかわらずでも の意

ところで の類語

異なる話題を導入すること; 実際は の意

日本語ワードネット1.1 (c) 2009-2011 NICT, 2012-2015 Francis Bond and
2016-2024 Francis Bond, Takayuki Kuribayashi