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・・・ですがその奥さまというのが、僕のためにはナンともいえない好い方で、その方の事を考えても、話にしても、何だか妙に嬉しいような悲しいような心持がして来るんです。美人といえばそれまでですが、僕はあんな高尚な、天人のような美人は見た事がないんです。・・・
若松賤子
「忘れ形見」
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・・・ とはいえ、自分の才能のことは繰り返し繰り返し問題になります。そうして才能を重大視するなといういろいろの人の言葉が、私の底冷えのしている心に温かい慰めを与えてくれます。天才は勉強だ、彼らの才能はさほど特殊なものではない、才能少なくして偉・・・
和辻哲郎
「ある思想家の手紙」