・・・ 国連は、いろいろの矛盾に苦しみながら世界平和と戦争回避のために努力しようとしている。わたしたちは、さまざまの偽瞞から国連の人類のための平和の努力を救い出してゆかなければならない。なぜなら、国連に参加している国々の内部にも、第三次世界大・・・ 宮本百合子 「世界は求めている、平和を!」
・・・女の声「ねえーさん、労働組合ってあるんだってね、それに入ると、毎月二十銭ずつだか会費をおさめるんですってね」「はあ」「そいで何だってえじゃあないの、どっかの工場でストライキでもすると、皆でお金を出し合ってすけてやるんだっ・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・ 私はこれら同志の態度は、常に主要な当面課題を回避する右翼日和見主義の危険を十分反映するものであると云わざるを得ないのである。 右翼的偏向は、「左」への偏向によって克服されるものではない。然し、右翼的日和見主義との闘争は、作家同盟の・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 社会一般の経済困難、戦争回避のために世界の良心が奮闘しつつある事実。日本の良心と学問の自由のためのたたかい。それらは、もとより学習院の土手を越した。同時に、いまの日本に急速にひろがりつつある不健全な時代錯誤、特権生活への架空な憧れと嫉・・・ 宮本百合子 「日本の青春」
・・・――ちゃんとわかっていたじゃないか。――会費を送るのはやめたかい?」「やめたわ。それは大抵の人がやめたでしょう」 もと文芸家協会として組織されていたものが、団体ぐるみ文学報国会というものになって、会員の一人だったひろ子も自然そこにひ・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・と言い切っているということは、何という厚顔な責任回避であろう。おのずから、殖える人数が楽しく生きて行けるだけの衣料と食物と燃料とが湧き出して来る家庭というような、魔法の小屋は、今日、日本のどこにもあり得ない。魔法の小屋でない「家庭」へ表口か・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・日本の文学者として、日本と世界のヒューマニティーに対する自己の責任を回避した。阿部・北村両氏は、日本の文学者とその読者である知識人、労働者すべてからの信任状を負うて出発したはずである。 六月二十五日、朝鮮に動乱がひきおこされてから、日本・・・ 宮本百合子 「私の信条」
・・・それを精神病と見てしまうのは、いくらか責任回避のきらいがある。一体にこの『漱石の思い出』は、漱石を「気違いじみた癇癪持ち」に仕上げて行く最後のタッチであったような気がする。 漱石と接触していた三年の間に、漱石と二人きりで出歩いたこと・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫