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・・・そうして、この簡素な太い力の間を縫う細やかな曲線と色との豊富微妙な伴奏は、荘厳に圧せられた人の心に優しいしめやかな手を触れる。―― もとより我々の祖先は、右のごとき感じかたをしたわけではあるまい。しかし彼らはとにかくその漠然たる無意識の・・・
和辻哲郎
「偶像崇拝の心理」
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・・・土器の形も、模様も、怪奇性を脱して非常に簡素になった。人物や動物の造形は、銅鐸や土器の表面に描かれた線描において現われているが、これは縄文土器の土偶に比べてほとんど足もとへもよりつけないほど幼稚なものである。こういう弥生式文化の時代が少なく・・・
和辻哲郎
「人物埴輪の眼」