・・・ 憲法発布以前、封建の重荷を脱して新しい日本の社会を作ろうとする気運が純粋に高まっていた時代、その先頭に立ったのは板垣退助を首領として自由民権を唱え、一八八一年に結成された自由党の人々であった。自由民権というとき、当時の日本人は必ず男女・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・彼は民衆の力の勃興を眼前に見ながら、そこに新しい時代の機運の動いていることを看取し得ないのであった。正長、永享の土一揆は彼の三十歳近いころの出来事であり、嘉吉の土一揆、民衆の強要による一国平均の沙汰は、彼の三十九歳の時のことで、民衆の運動は・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
・・・ もし近い内に真実の講和が来るとすれば、それは右の機運が内部に熟している証拠である。 そうでなくただ妥協的に、戦前の状態に復するような講和は成立するわけがない。これほどの大事件が深い痕跡を残さずにすむものか。二 われ・・・ 和辻哲郎 「世界の変革と芸術」
出典:青空文庫