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・・・ 同じ頃にやはり新聞が、青少年男女の産業戦士の病気になる率が急騰していることを報じていたことは、その上野駅頭の大群集の写真との対照で、今なお生々しく私たちの感銘に刻まれていると思う。去年の春ごろ、同じような荷物に漠然とした人生への希望を・・・
宮本百合子
「列のこころ」
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・・・ 顔の前に短く垂れた面紗のように、空虚・無目的性をこの人生の前面に装飾的にかけて、その気分を持って廻るのであったら、そこには矢張り新しいようで実は大変に旧套であるところの若い女の人生への気力の弱い媚態があるのだと思う。人間は勁い、複雑な・・・
宮本百合子
「私たちの社会生物学」