・・・ されば、生れながらにして学に志し、畢生の精神を自身の研究と他人の教導とに用いて、その一方に長ずる者は、学問社会の長者にして、これまた一等官が政事の長者たるに異ならざるや、もとより明白なり。而してその相撲の大関または碁将棋の九段なる者が・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・ またあるいは人の説に、官立の学校を廃して共同私立の体に変じ、その私立校の総理以下教員にいたるまでも、従前、官学校に従事したる者を用い、学事会を開きて学問の針路を指示するが如きは、はなはだ佳しといえども、その総理教員なる者は、以前は在官・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・生計に時を費せばおのずから塾生の教導を後にせざるをえず。その失、三なり。一、私塾には黜陟・与奪の公権なきがゆえに、人生天稟の礼譲に依頼して塾法を設け、生徒を導くの外、他に方便なし。人の義気・礼譲を鼓舞せんとするには、己れ自からこれに先だ・・・ 福沢諭吉 「学校の説」
・・・ああ吾が党の士、協同勉励してその功を奏せよ。 福沢諭吉 「慶応義塾の記」
・・・その後鶸の雌は余り大食するというので憎まれて無慈悲なる妹のためにその籠の中の共同国から追放せられた。またその後ジャガタラ雀が死んだので、亭主になりすまして居った前のキンパラは遂にキンカ鳥の雌に款を通じようとするので、後のキンパラと絶えず争い・・・ 正岡子規 「病牀苦語」
・・・ テねずみが、「それで、その、わたしの考えではね、どうしてもこれは、その、共同一致、団結、和睦の、セイシンで、やらんと、いかんね。」と言いました。 クねずみは、「エヘン、エヘン。」と聞こえないようにせきばらいをしました。相手・・・ 宮沢賢治 「クねずみ」
・・・その樫の木はいつ其那ところへ芽を出したのだろうとは誰も考えもせず、永年荷馬車を一寸つないだり、子供が攀じ登りの稽古台にしたり、共同に役立てて暮して来た。沢や婆さんの存在もその通りであった。村人は、彼女が女であって、やはり金や家や着物がないと・・・ 宮本百合子 「秋の反射」
・・・自由党 一三六名 五名 計 一四一名進歩党 八七名 六名 九三名社会党 八四名 八名 九二名協同党 一四名 ナシ 一四名共産党 四名 一名 五名諸派 二九名 一〇・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・ 東大協同組合出版部から、『きけわだつみのこえ』という戦没学生の手記を集めた本が発行された。戦没した学生たちは、帝国主義の侵略戦争がどんなに人類的な犯罪であるかということを、死の訴えとしてのこした。やがて屍となる自分の靴の底へかくした紙・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・青年部と婦人部はもちろん協同で闘っているから、事件の成行きによっては、夜、家へも帰れない。一つの室に、ある人はテーブルの上で、ある人はイスの上で、夜明しをしなければならないこともある。その時一つの室に若い男と女とが夜中かたまり合っていたから・・・ 宮本百合子 「社会生活の純潔性」
出典:青空文庫