・・・文学的行動主義が、造型芸術における野獣派、ピュリズム、プリミチヴィズム、シムルタニズム、表現主義或いは超現実主義の表現方法に多くの近似を見出すのはその故である。行動主義は創造的制作の上に立つものであるが故に、恒に制作がなさるる時代、もっ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・において苦悩が 衆生のものでなくして私ひとりのものであったら何を 矜持として 生きるものかという、ひろがりをもっている。けがれたまねは しまいと思うしっかりと 何よりもまず自らに立派で あ・・・ 宮本百合子 「『静かなる愛』と『諸国の天女』」
・・・の作者の心理主義の傾向に、こういう外国文学との近似性が感じられるにせよ、ソヴェト社会は、その構成と運行の基本をフロイド風の「無意識」の決定権にゆだねているのではないのだから、作品もリアリティーにおいて分裂し失敗している。リベディンスキーの作・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・どんな男性が、どんな心情を抱いて接近して来るか、日本などより遙に多い危険が、女性自身の矜持で防止されているのです。 斯様にして交際しているうちに、多くの異性の中には、特に自分に興味を持ち、真実を抱いて来る者、又自らも抱く者が見出されて来・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ 第一の女 第二の女 第三の女 非番の老近侍 帝の供人同宮人数多 法王の供人数多及び弟子達 イタリー、サレルノの農夫の老夫婦 人民数多、及び不信心な遊び者 第一幕 ・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
・・・松尾宗房と云い、伊賀国上野町の城代藤堂家の家臣で、少年から青年時代のはじまりはその城代の嫡子の近侍をしていた。既にその時代、俳諧は大流行していて若殿自身蝉吟という俳号をもって、談林派の俳人季吟の弟子であった。宗房もその相手をし早くから俳諧に・・・ 宮本百合子 「芭蕉について」
・・・ 実際の条件は同じによくないのだが、勤め先が世間で通っている名のよいために、それで微かななぐさめや自分への矜持を保とうとする若い女性の心理が、今日の働く婦人たちの心からどのくらい無くなって来ているだろう。その点どのくらい成長して来ている・・・ 宮本百合子 「働く婦人の歌声」
・・・ 平常、自己の結婚生活、恋愛生活に矜持ある希望、信念を持ち得ないでいた者は、わっといってその周囲に馳け集る。おのおの手には帳面を持ち、その行為がよいと批評されれば、人生に於けるあらゆる斯の如き種類の行動の下に、よし、と書き込み、悪いと云・・・ 宮本百合子 「深く静に各自の路を見出せ」
・・・をかき得たのは、大なる地の脈動を自身の体のなかにもっているというその内奥の近似が、彼女の人間生活の諸相への愛と理解との根底にあったからだと思う。「イアリング」のようなアメリカ文学としてみれば珍しいリリシズムで貫かれている作品にしろ、フラ・・・ 宮本百合子 「文学の大陸的性格について」
・・・四月六日の『読売報知』には、ヒトラー、ムッソリニ礼讚の自著『世界の顔』についての、外人記者との対談で、「武士道は日本精神の精髄で、ナチス精神との間には多分の近似性がある」と、心ある全国民を戦慄させる断言をしている。ヨーロッパ、アメリカの政治・・・ 宮本百合子 「矛盾とその害毒」
出典:青空文庫