・・・ しかしまた、普通にいわゆる常識的にわかりきったと思われることで、そうして、普通の意味でいわゆるあたまの悪い人にでも容易にわかったと思われるような尋常茶飯事の中に、何かしら不可解な疑点を認めそうしてその闡明に苦吟するということが、単なる・・・ 寺田寅彦 「科学者とあたま」
・・・ 図鑑を見ただけで、なんらの疑点もなく明確にこれだと決定できる場合は存外少ない。ほとんど同じではあるが、どうも少しちがうようだ、という場合がはなはだ多い。書物の記載も、見取り図も至極簡単であるからやむを得ない。 そういう場合における・・・ 寺田寅彦 「沓掛より」
・・・ 友情論の筆者は、ニイチェの言葉に疑点を挾んで引用されているわけであるが、では、現実に婦人の友情を営む能力というものは現在どのくらい成長して来ているだろうか。友情を異性の間のこととして見た場合どうだろう。 そういうような質問をされた・・・ 宮本百合子 「異性の間の友情」
・・・そのことに疑点を挾むものはおそらく一人もないであろう。 ところで、文化の問題として見て、そういう機械について働く技術を覚えた農村数十万の娘たちの日常生活の実質が彼女たちの文化の高まりという意味からどのくらい高められ、広められているかとい・・・ 宮本百合子 「婦人の文化的な創造力」
出典:青空文庫