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・・・ しかし、空拳と無芸では更に成すべき術もなく、寒山日暮れてなお遠く、徒らに五里霧中に迷い尽した挙句、実姉が大邱に在るを倖い、これを訪ね身の振り方を相談した途端に、姉の亭主に、三百円の無心をされた。姉夫婦も貧乏のどん底だった。「百円は・・・
織田作之助
「勧善懲悪」
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・・・郷土の名を、わが空拳にて日本全国にひろめ、その郷土の名誉を一身に荷わんとする意気込みが無ければ、とても自身の生れた所の名を、家の屋号になど、出来るものではありません。むかし、紀の国屋文左衛門という人も、やはり、そのような意気込みを以て、紀の・・・
太宰治
「砂子屋」