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・・・のやるかたなきよりうめき出たる実情にて候代女述意と称する春風馬堤曲十八首に曰くやぶ入や浪花を出て長柄川春風や堤長うして家遠し堤下摘芳草 荊与棘塞路荊棘何無情 裂裙且傷股渓流石点々 蹈石撮香芹多謝水上石 ・・・
正岡子規
「俳人蕪村」
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・・・目の前に、古びた貨物船が繋留されている。それが我等を日本へつれてゆく天草丸だった。 そこからは、入りくんだ海の面と、そのむこうに細かく建物のつまった出鼻の山の景色が見える。今太陽は海、出鼻の上を暖かく照らし、岸壁でトロを押している支那人・・・
宮本百合子
「新しきシベリアを横切る」