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・・・ 今来たのはその興行師である。Imprアンプレサリオ である。「こっちへ這入らせて下さい」とロダンはいった。椅子をも指さないのは、その暇がないからばかりではない。「通訳をする人が一しょに来ていますが。」機嫌を伺うように云うのであ・・・
森鴎外
「花子」
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・・・またもし工業労働者のみの利益を主張して他の国民の志を阻止しようとするならば、もちろんそれも違勅である。万民志を遂ぐるという理想的な境地に達するためには、どの階級も多少ずつは犠牲を払わなくてならぬ。しかし公平に言って、特権階級が特に多くの犠牲・・・
和辻哲郎
「蝸牛の角」