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・・・人間が行動するとき、子のあるものと子のないものとの行為や精神には、非常な相違がある。この平凡な確実なことは、子のないときには理解ができても洞察の度合においてはるかに深度が違ってくる。この深度は作家の作品に影響しないはずがない。宇野浩二氏の『・・・
横光利一
「作家の生活」
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・・・この瞬間には彼女は自己というものを離れ去り、また外界の何物にも累わされずに、衝動が活くままの行動をする。この内部の力に対しては自分も非常な恐怖を抱いていながら、その魔力に抵抗することはできないのだ。これがデュウゼをして半狂のヒステリカルな女・・・
和辻哲郎
「エレオノラ・デュウゼ」