・・・女は徳二郎の渡した大コップに、なみなみと酒をついで息もつかずに飲んだ。「も一ツ」と今度は徳二郎がついでやったのを、女はまたもや一息に飲み干して、月に向かって酒気をほっと吐いた。「サアそれでよい、これからわしが歌って聞かせる。」「・・・ 国木田独歩 「少年の悲哀」
・・・女は徳二郎の渡した大コップに、なみなみと酒をついで息もつかずに飲んだ。「も一ツ」と今度は徳二郎がついでやったのを、女はまたもや一息に飲み干して、月に向かって酒気をほっと吐いた。「サアそれでよい、これからわしが歌って聞かせる。」「・・・ 国木田独歩 「少年の悲哀」
・・・女は徳二郎の渡した大コップに、なみなみと酒をついで息もつかずに飲んだ。「も一ツ」と今度は徳二郎がついでやったのを、女はまたもや一息に飲み干して、月に向かって酒気をほっと吐いた。「サアそれでよい、これからわしが歌って聞かせる。」「・・・ 国木田独歩 「少年の悲哀」
・・・机の上には大理石の屑、塩酸の壜、コップなどが置いてあった。蝋燭の火も燃えていた。学士は手にしたコップをすこし傾げて見せた。炭素がその玻璃板の間から流れると、蝋燭の火は水を注ぎ掛けられたように消えた。 高瀬は戸口に立って眺めていた。 ・・・ 島崎藤村 「岩石の間」
・・・机の上には大理石の屑、塩酸の壜、コップなどが置いてあった。蝋燭の火も燃えていた。学士は手にしたコップをすこし傾げて見せた。炭素がその玻璃板の間から流れると、蝋燭の火は水を注ぎ掛けられたように消えた。 高瀬は戸口に立って眺めていた。 ・・・ 島崎藤村 「岩石の間」
・・・机の上には大理石の屑、塩酸の壜、コップなどが置いてあった。蝋燭の火も燃えていた。学士は手にしたコップをすこし傾げて見せた。炭素がその玻璃板の間から流れると、蝋燭の火は水を注ぎ掛けられたように消えた。 高瀬は戸口に立って眺めていた。 ・・・ 島崎藤村 「岩石の間」
・・・末弟ひとり、特別に大きいコップで飲んでいる。 退屈したときには、皆で、物語の連作をはじめるのが、この家のならわしである。たまには母も、そのお仲間入りすることがある。「何か、無いかねえ。」長兄は、尊大に、あたりを見まわす。「きょうは、・・・ 太宰治 「愛と美について」
・・・末弟ひとり、特別に大きいコップで飲んでいる。 退屈したときには、皆で、物語の連作をはじめるのが、この家のならわしである。たまには母も、そのお仲間入りすることがある。「何か、無いかねえ。」長兄は、尊大に、あたりを見まわす。「きょうは、・・・ 太宰治 「愛と美について」
・・・末弟ひとり、特別に大きいコップで飲んでいる。 退屈したときには、皆で、物語の連作をはじめるのが、この家のならわしである。たまには母も、そのお仲間入りすることがある。「何か、無いかねえ。」長兄は、尊大に、あたりを見まわす。「きょうは、・・・ 太宰治 「愛と美について」
・・・ コップで?」「深夜の酒は、コップに注げ、とバイブルに在る。」 私は嘘を言った。 キクちゃんは、にやにや笑いながら、大きいコップにお酒をなみなみと注いで持って来た。「まだ、もう一ぱいぶんくらい、ございますわ。」「いや、こ・・・ 太宰治 「朝」
出典:青空文庫