・・・もっともごくごく上等のやつをほしいのです。何せ相手がグリーンランドの途方もない成金ですから、ありふれたものじゃなかなか承知しないんです。」大学士は葉巻を横にくわえ、雲母紙を張った天井を、斜めに見上げて聴いていた。「たびたびご・・・ 宮沢賢治 「楢ノ木大学士の野宿」
・・・そして労働法は生後十ヵ月までの子をもつ母親の解雇、姙娠五ヵ月以上の女の解雇をごくごくやむを得ない場合以外は厳禁している。 小学校、工場附属技術学校、いずれも国庫および職業組合の負担で、プロレタリアートの児童のために開放されている。 ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ そして、ごくごく微かだけれども、「主与え給い、主奪い給いぬ、主の名に祝福あれや」と云ったジョッブの心持と、「主よ、汝の愛するもの病めり」という文句のうちに籠っている心持とを感じられるような心持がした。「主よ、汝の愛・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・ そして、ごくごく単純な彼女等は私に遣らなければならないものなら、やったってよさそうなものだのに、……町へ行って奉公したって食っては行けるくらいに思っていた。 もちろん、親達の苦しんでいる様子に対して、それを口に出すことは、いかな彼・・・ 宮本百合子 「禰宜様宮田」
出典:青空文庫