・・・ そういう議論のいかんにかかわらず新型式俳句というものが現に存在しており、それを主張する人と支持する人があるという事は否定することのできない事実である。科学者流の目で見れば、これも一つの文化的自然現象であって可否の議論を超越したものであ・・・ 寺田寅彦 「俳句の型式とその進化」
・・・るために一巻に特殊な色彩の律動を示していることは疑いもないことであるが、ただもし凡兆型の人物ばかりが四人集まって連句を作ったとしたらその成績はどんなものであるかと想像してみれば、おのずから前述の所論を支持することになるであろうと思われるので・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・「――だからさ、だからわしは、小野がいるときから、アナだの何だの、支持したこたァないよ。そうでしょう、そうですとも。だいたい諸君は、わしのことをダラ幹だの、女郎派だのというけれどだネ、しかしだネ、じっさい労働者というもんは……」 硝・・・ 徳永直 「白い道」
・・・川村にしても、高橋にしても、斎藤にしても、小野にしても、其他十数人の、彼を支持する有力な子分は、皆組合の手に奪われてしまったのだ。 それを、いま自分が、争議中の一切の恨を水に流して、自ら貰い下げに行くことは、どれだけ彼らに大きな影響を与・・・ 徳永直 「眼」
・・・反キリストの詩人ニイチェの意味に於て、Ecce homo がまた同じく、キリスト教への魔教的冒涜を指示してゐるにちがひない。にもかかはらず、ニイチェこそは新しい時代の受難者、耶蘇キリストにまちがひなかつた。 ニイチェの著書は、おそら・・・ 萩原朔太郎 「ニイチェに就いての雑感」
・・・ またあるいは人の説に、官立の学校を廃して共同私立の体に変じ、その私立校の総理以下教員にいたるまでも、従前、官学校に従事したる者を用い、学事会を開きて学問の針路を指示するが如きは、はなはだ佳しといえども、その総理教員なる者は、以前は在官・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・彼女たちが労働者や下層民をさけたために、民主党を支持する人民層の意見が反映しなかったのだろうと、東京新聞で小山栄三が書いている。 ギャラップの世論調査所に働いているのが女子だったから、アンケートの送りさきが限定されたのではなかった。彼女・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・場・暁が、つい附近の富農の多い村と対抗しつつどんな困難のうちに組織されたか、どんな人間が、どんなやり方で――うすのろの羊飼ワーシカさえどんな熱情で耕作用トラクターを動かそうとしたか、そこには集団農場を支持するかせぬかから夫婦わかれもある農村・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・こんにち、平和を支持し、ファシズムに反対する作家たちの一人一人が、その創作の現実で、新しいより社会的な創作方法にまで歩み出しているとは云えないけれども、日本の現代文学が世界の文学として生存してゆくための意味深い本質的萌芽は、すでに日本のうち・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・ 党、それを支持するプロレタリアートの一面の誤謬は指摘され、笑われている。プロレタリア的な積極的な見通しが、全脚本を通じてない。そこで、大衆は疑問をもち始め「赤紫の島」は上演を禁じられた。 この例でもわかるように、闘争的プロレタリア・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
出典:青空文庫