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・・・三百数十人の大小の死体とメラメラ火を吐いている焦土とが、駈けつけたバクーの労働者を迎えた。これによってバクーに歴史的なジェネストが起った。九人の労働者が指導者として銃殺された。しかし、このことから、バクーの労働者の間に革命の伝統が生じ一九〇・・・
宮本百合子
「石油の都バクーへ」
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・・・地べたの中にアルカリが多くなっていたせいか、新緑は、いつもの年よりも遙かに透明ですがすがしく、エメラルド・グリーンに輝いたフランスの絵の樹木の色を思い出させた。焦土に萌える新しい緑へのよろこびからばかり、その美しさが見えたのではなかった。・・・
宮本百合子
「田端の汽車そのほか」