・・・ 大抵の文学研究会では詩ばかり沢山よまれるのに、ここでは、縞フランネルの襯衣をカラーなしで着た青年が、短篇小説をよんだ。 五箇年計画で、各生産部分には熟練工が足りなくなった。一九二八年には百十万人もあった失業者を全部吸収したが、それ・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・先生も無心、生徒も無心、少し退屈を感じながら藤の花の散る下で、オルガンに合わせ、 一二三四、五六七八 一二三四、五六七八 先生は男で白縮の襯衣だ。そのような伸びたり縮んだり輪になる間に、お千代ちゃんと親しくなったのか。 ・・・ 宮本百合子 「毛の指環」
・・・ 一方から見ると、誠に当を得たように思われる文化政策なども、軍事教練に反対した汎太平洋婦人平和会議の決議に反対の見解を示している人々の意見とてらし合わせてみて始めて、真意が了解されるというものであろう。 現在われわれが住んでいる社会・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・ アメリカの婦人は、神位にまで近づきます、けれども、「黄金の死」を死ぬのではございますまいか、私はこの二つの事実が、こちらの婦人の実生活をかなり辛辣に諷刺して居ると思うのでございます。 消極の極で暮して来た、否暮させられて来た、日本・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・革命前までロシアの労働者の飲みようと来たら底なしで、寒ぢゅう襯衣まで飲んで凍え死ぬもんがよくあった。立ち上ることを恐れた。そこで酒で麻痺させたんだ。おまけにツァーはそのウォツカの税でうんと儲けて居た。革命後プロレタリアートは自分の完全な主人・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・ 十時過、なほ子は耕一の仕事場にしている離れに行った。襯衣一枚になって、亢奮が顔に遺っていた。彼は出来上りかけている製作をなほ子に見せながら、「姉さんいて呉れると、どんなに心丈夫だか分らない――話んなりゃしないんだから、間抜けばっか・・・ 宮本百合子 「白い蚊帳」
・・・青年」劇場。青襯衣座。革命劇場。メイエルホリド座。センペランテ劇場。モスクワに三つあって、プロレタリア児童のために健康な娯楽と啓蒙を呈供している児童劇場。上演目録内容の広汎で直接な社会性から云っても、新様式の熱心な探究の点でも、注目すべきは・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・二本の燭はこれも一隅が映っている白い包みを左右から護って、枯れた辛夷の梢越しに、晴れやかに碧い大空でゆらめいているように見えた。〔一九二五年三月〕 宮本百合子 「祖母のために」
・・・ それ故米国に於ける原始女性尊重の真意とでも云うべきものは、婦人を実力に於て認め、人格価値の上からは半歩も男子に譲るものではないと云う事実的な結論に加えて、彼等一流の光彩あるロマンティックな輝を添えたものであったのです。 斯様な社会・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ 先ず火曜日は、先週の日曜の朝代えた下着や、敷布や襯衣その他の洗濯日、午後からは訪問と云う日割です。大きいものは一まとめに袋に入れて、朝来ることに定めてある洗濯屋に渡し、小さい手巾とか、婦人用の襟飾、絹のブラウズと云うようなものは、皆、・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
出典:青空文庫