・・・彼等が見出そうと欲したのは五年目に見るソヴェトに対するゴーリキイの失望と、偉大な声楽家シャリアピンが金の儲からぬロシアを捨てて、しかも古いロシアの嘆きの唱を歌いつつ稼いでいるように、ソヴェトを見限るであろうということであった。 一方ソヴ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイによって描かれた婦人」
・・・ マリアは、はじめ声楽家になって、自分がこの世に生れて来たということの真価を発揮しようと思い立った。イタリーでその修業をはじめた。けれども、専門家としての練習に声が堪えないことがわかって、この希望は思い切らなければならなかった。もうこの・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫