・・・ 駒込署の高等係は、余り二人の同志が私に会わせろとガン張るのに閉口して留置場まで降りて行ったふりをし、私が「こういう場所では会いたくないから」と云ったと見えすいた嘘をついて到頭追いかえしてしまったのだそうです。私が何とかして会いたいと留置場・・・ 宮本百合子 「逆襲をもって私は戦います」
・・・などと云い、今野自身も医者に見せろと要求した。「貴様らァわるいこったら何でも知っていようが、医者のことまじゃ知るまい。余計なこと云うな」 だが、今日は呻るように痛いので自分まで要求してやっと医者を呼ばせたのであった。その医者が、・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・今夜はピヤチゴルスキーというセロの名手をききます。久しぶりで。パストゥルの一生が映画化されて来て居ります。これも見たいと思う。お体のことは本当にあなたの御用心を願うことしかありません。 附 私の体のことをこの前の手紙に比・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・今夜はピヤチゴルスキーというセロの名手をききます。久しぶりで。パストゥルの一生が映画化されて来て居ります。これも見たいと思う。お体のことは本当にあなたの御用心を願うことしかありません。 附 私の体のことをこの前の手紙に比・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・門構えで、総二階で、ぽつんとそういう界隈に一軒あるしもたやは何となし目立つばかりでなく、どう見ても借家ではないその家がそこに四辺を圧して建てられていることに、云わばその家の世路での来歴というようなものも察しられる感じなのである。 何年も・・・ 宮本百合子 「今日の耳目」
・・・忘れかねたる吾子初台に住むときいて通るたびに電車からのび上るのは何のためか 呻きのように母の思いのなり響く「秋」世路の荒さを肌に感じさせる「南風の烈しき日」ひとりをかみしめて食む 夕食と涙たよりに・・・ 宮本百合子 「『静かなる愛』と『諸国の天女』」
・・・もの足りなさは、それが未熟だからでも、稚拙だからでもなく、それどころか、どの作品も趣向はそれぞれにこらしてあって、手綺麗に色もとりどりであるけれども、そのあまりにも多くが、駅の売店につられている派手なセロファン人形だ、という、そのもの足りな・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・もの足りなさは、それが未熟だからでも、稚拙だからでもなく、それどころか、どの作品も趣向はそれぞれにこらしてあって、手綺麗に色もとりどりであるけれども、そのあまりにも多くが、駅の売店につられている派手なセロファン人形だ、という、そのもの足りな・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・ヴァイオリン、セロと云う様なごく長い習練のいるものはどうしてもサークルにはより少くとり入れられるわけです。 ピオニェールはピオニェールで又自分たちの楽隊を持っている。われわれも一日も早く自分たちの音楽によってメーデーのデモをやりたいもの・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の音楽サークルの話」
・・・ヴァイオリン、セロと云う様なごく長い習練のいるものはどうしてもサークルにはより少くとり入れられるわけです。 ピオニェールはピオニェールで又自分たちの楽隊を持っている。われわれも一日も早く自分たちの音楽によってメーデーのデモをやりたいもの・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の音楽サークルの話」
出典:青空文庫